西日本新聞「現代ブンガク風土記」　2018年4月1日より毎週日曜連載中

２０１８年４月１日より、西日本新聞で「現代ブンガク風土記」という連載を、毎週日曜に担当しています。日本の「地方」を舞台にした「地に足の着いた」現代文学を毎週一冊取り上げ、作品の魅力について、読み所となるポイントを明示し、批評する内容です。



表題を「ブンガク」と片仮名にしたのは、この連載で取り上げる作品が、必ずしも文芸誌に載る「純文学」の作品に限らないからです。直木賞や山本周五郎賞を受賞している作家の優れた作品も多く取り上げます。長崎の磨屋小学校の先輩である山本健吉や奥野健男の『現代文学風土記』のコンセプトを一部継承しつつ、内容の上で区別するニュアンスもあります。

風景や生活空間の均質化と、過疎化が進行する現代日本ですが、「地方」の現実感やその価値観を捉え直す、魅力的な小説が多く執筆されています。この連載では、「地方」を舞台にした、現代を代表する小説の表現を手がかりにして、土地と人間との現代的な関係について考えていくことを目的としています。

第1回「『市井の戦争責任』問う」　カズオ・イシグロ『遠い山並の光』
https://makotsky.blogspot.jp/2018/04/blog-post.html

第2回「故郷喪失者が描く戦後」　カズオ・イシグロ『浮世の画家』
https://makotsky.blogspot.jp/2018/04/blog-post_8.html

第3回「母をもとめさまよう兄弟」　吉田修一「破片」
https://makotsky.blogspot.jp/2018/04/blog-post_15.html

第4回「観光地・長崎の明暗」　吉田修一『長崎乱楽坂』
https://makotsky.blogspot.jp/2018/04/blog-post_22.html

第5回「新しい家族のあり方示す」　辻村深月『朝が来る』
https://makotsky.blogspot.jp/2018/04/blog-post_29.html

第6回「きな臭くも多彩な『郊外」　三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』
https://makotsky.blogspot.jp/2018/05/blog-post.html

第7回「地方の閉塞　先取りし描く」　佐藤泰志『海炭市叙景』
https://makotsky.blogspot.jp/2018/05/blog-post_13.html

第8回「『開拓者の末裔』自負と愛憎」　桜木紫乃『ラブレス』
https://makotsky.blogspot.jp/2018/05/blog-post_20.html

第9回「皮肉と愛情で軍港描く」　矢作俊彦『ロング・グッドバイ　THE WRONG GOODBYE』
https://makotsky.blogspot.jp/2018/05/blog-post_28.html

第10回「『効率的な現代家族』先取り」　角田光代『空中庭園』
https://makotsky.blogspot.com/2018/06/blog-post.html

第11回「土俗的信仰の忘却　告発」　青来有一『聖水』
https://makotsky.blogspot.com/2018/06/blog-post_10.html

第12回「爆心地の普通の日々描く」青来有一『爆心』
https://makotsky.blogspot.com/2018/06/blog-post_17.html

第13回「内在する『外国』若者の『戦争』」　桐野夏生『メタボラ』
https://makotsky.blogspot.com/2018/06/blog-post_24.html

第14回「炭鉱町らしい『生活の哲学』」　リリー・フランキー『東京タワー』
https://makotsky.blogspot.com/2018/07/blog-post.html

第15回「現代を代表する『労働小説』」　佐川光晴『生活の設計』
https://makotsky.blogspot.com/2018/07/blog-post_8.html

第16回「地方標準で家族像模索」　辻村深月『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』
https://makotsky.blogspot.com/2018/07/16.html

第17回「母娘の関東周縁放浪記」　江國香織『神様のボート』
https://makotsky.blogspot.com/2018/07/17.html

第18回「故郷に別れ告ぐ『私小説』」　村上春樹『１９７３年のピンボール』
https://makotsky.blogspot.com/2018/07/18.html

 第19回「別荘地で生じる『故郷喪失』」　長嶋有『ジャージの二人』
https://makotsky.blogspot.com/2018/08/19.html

第20回「弘前の記憶描き　ブームに」　森沢明夫『津軽百年食堂』
https://makotsky.blogspot.com/2018/08/20.html

第21回「博多の訛りと『化学反応』」　絲山秋子『逃亡くそたわけ』
https://makotsky.blogspot.com/2018/08/21.html

 第22回「胃袋通して福岡と和解」　絲山秋子『沖で待つ』
https://makotsky.blogspot.com/2018/08/22.html

第23回「今津線あふれる臨場感」　有川浩『阪急電車』
https://makotsky.blogspot.com/2018/09/23.html

第24回「店員視点で描く『文明論』」　村田沙耶香『コンビニ人間』
https://makotsky.blogspot.com/2018/09/24.html

第25回　「蔵書と思い出 切り刻み」　島本理生『夏の裁断』
https://makotsky.blogspot.com/2018/09/25.html

第26回　「震災後の人びとの感情細やかに」　佐伯一麦『還れぬ家』
https://makotsky.blogspot.com/2018/09/26.html

第27回　「都市にぼんやり拡がる欲望」　村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
https://makotsky.blogspot.com/2018/09/27.html

第28回　「根無し草の女　優しく抱擁」　宮部みゆき『火車』
https://makotsky.blogspot.com/2018/10/28.html

第29回　「重い主題　仙台で軽やかに」　伊坂幸太郎『重力ピエロ』
https://makotsky.blogspot.com/2018/10/29.html

第30回　「釧路の生活者の『官能的な姿』」　桜木紫乃『ホテルローヤル』
https://makotsky.blogspot.com/2018/10/30.html

第31回　「筑後川開拓地の愛情と憎悪」　辻仁成『白仏』
https://makotsky.blogspot.com/2018/10/31.html

第32回　「原点回帰　主人公に自身投影」　吉田修一『国宝』　
https://makotsky.blogspot.com/2018/11/32.html

第33回　「郊外に潜む闇と再生力」　有川浩『フリーター、家を買う。』
https://makotsky.blogspot.com/2018/11/33.html

第34回　「近未来舞台　監視社会を風刺」　伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』
https://makotsky.blogspot.com/2018/11/34.html

第35回　「不器用な人びとの繊細な時間」　絲山秋子『イッツ・オンリー・トーク』
https://makotsky.blogspot.com/2018/11/35.html

第36回　「古い集落と新興地の『間』で」　多和田葉子『犬婿入り』
https://makotsky.blogspot.com/2018/12/36.html

第37回　「片隅で輝く『荒ぶる魂』」　桐野夏生『ファイアボール・ブルース』
https://makotsky.blogspot.com/2018/12/37.html

第38回　「皮肉たっぷりの『震災文学』」　多和田葉子『献灯使』
https://makotsky.blogspot.com/2018/12/38.html

第39回　「炭鉱と渋谷　暗黒的な未来」　村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』
https://makotsky.blogspot.com/2018/12/39.html

第40回　「夜の街中州で育つ無戸籍児」　辻仁成『真夜中の子供』
https://makotsky.blogspot.com/2019/01/40.html

第41回　「地方で起こる無意識の暴力」　舞城王太郎『熊の場所』
https://makotsky.blogspot.com/2019/01/41.html

第42回　「『障害者』を隣人として描く」　今村夏子『こちらあみ子』
https://makotsky.blogspot.com/2019/01/42.html

第43回　「時代の熱狂と佐世保描く」　村上龍『６９　sixty nine』https://makotsky.blogspot.com/2019/01/4369sixty-nine.html

第44回　「沖縄の人々の総体が主人公」　真藤順丈『宝島』https://makotsky.blogspot.com/2019/02/44.html

第45回　「全体像の見えない『西海市』」　佐藤正午『永遠の１／２』　https://makotsky.blogspot.com/2019/01/4369sixty-nine.html

第46回　「ぼんやり留まる場所として」　佐藤正午『鳩の撃退法』

第47回　「『ベッド村』の新しい現実感」島田雅彦『優しいサヨクのための嬉遊曲』
https://makotsky.blogspot.com/2019/02/47.html

第48回　「『拘束』から『解放』の場へ」吉本ばなな『キッチン』
https://makotsky.blogspot.com/2019/03/48.html

第49回　「温泉町で描く新しい女性像」吉本ばなな『TSUGUMI』
https://makotsky.blogspot.com/2019/03/49tsugumi.html

第50回　「母子家庭の幸福炙り出す」干刈あがた『ウホッホ探検隊』
https://makotsky.blogspot.com/2019/03/50.html

第51回　「土地に根ざす語りへの拘り」真藤順丈『地図男』
https://makotsky.blogspot.com/2019/03/51.html

第52回　「『通過儀礼』を青春小説へ」恩田陸『夜のピクニック』
https://makotsky.blogspot.com/2019/04/52.html

第53回　「土着性回復する過程も描く」恩田陸『蜜蜂と遠雷』
https://makotsky.blogspot.com/2019/04/53.html

第54回　「現代人の『成熟と喪失』」　平野啓一郎『ある男』
https://makotsky.blogspot.com/2019/04/54.html

第55回　「地方の女性に潜在する闇」　辻村深月『鍵のない夢を見る』
https://makotsky.blogspot.com/2019/04/55.html

第56回　「新時代と格闘する大学教員」　奥泉光『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』
https://makotsky.blogspot.com/2019/04/56.html

第57回　「狭い町で描く不自由な恋愛」　桜庭一樹『少女七竈と七人の可愛そうな大人』
https://makotsky.blogspot.com/2019/05/57.html

第58回　「父権なき父親の孤独」　重松清『ビタミンF』
https://makotsky.blogspot.com/2019/05/58f.html

第59回　「地方私大の可能性は？」　奥泉光『黄色い水着の謎』
https://makotsky.blogspot.com/2019/05/59.html

第60回　「函館の『隣人』の生を表現」　佐藤泰志『そこのみにて光輝く』
https://makotsky.blogspot.com/2019/05/60.html

第61回　「震災孤児の危うい心情」　桜庭一樹『私の男』
https://makotsky.blogspot.com/2019/06/61.html

第62回　「湘南っ子の友情と生長」　道尾秀介『月と蟹』
https://makotsky.blogspot.com/2019/06/62.html

第63回　「中年男女の互助会的友情」　朝倉かすみ『平場の月』
https://makotsky.blogspot.com/2019/06/63.html

第64回　「神田川沿いの『顔のない風景』」　古川日出男『サマーバケーションEP』
https://makotsky.blogspot.com/2019/06/64ep.html

第65回　「北の開拓地　冷たさと強さ」　桜木紫乃『起終点駅　ターミナル』
https://makotsky.blogspot.com/2019/06/65.html

第66回　「横浜郊外の家庭に潜む『闇』」　山本文緒『群青の夜の羽毛布』
https://makotsky.blogspot.com/2019/07/66.html

第67回　「『温度のない悲しみ』掬う」　車谷長吉『赤目四十八瀧心中未遂』
https://makotsky.blogspot.com/2019/07/67.html

第68回　「京都ー福岡　逃亡と不在」　絲山秋子『エスケイプ／アブセント』
https://makotsky.blogspot.com/2019/07/68.html

第69回　「鎌倉の風景と哲学的雑談」　保坂和志『季節の記憶』https://makotsky.blogspot.com/2019/07/69.html

第70回　「地方の疲弊　閉塞感先取り」　吉田修一『悪人』
https://makotsky.blogspot.com/2019/08/70.html

第71回　佐川光晴『駒音高く』

第72回　青山七恵『ひとり日和』

第73回　宮本輝『五千回の生死』

第74回　富岡多恵子『波うつ土地』

第75回　湊かなえ『望郷』

第76回　湊かなえ『贖罪』

第77回　東野圭吾『容疑者Xの献身』

第78回　重松清『流星ワゴン』

第79回　三浦しをん『神去なあなあ日常』

第80回　村田喜代子『飛族』

第81回　宮本輝『幻の光』

第82回　小川洋子『ミーナの行進』

第83回　山田太一『岸辺のアルバム』

第84回　村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』

第85回　青来有一『人間のしわざ』

第86回　大江健三郎『取り替え子　チェンジリング』

第87回　森見登美彦『夜行』

第88回　東山彰良『流』

第89回　柳美里『ゴールドラッシュ』

第90回　小野正嗣『残された者たち』

第91回　川上弘美『真鶴』

第92回　阿部和重『シンセミア』

第93回　阿部和重『インディヴィジュアル・プロジェクション』

第94回　角田光代『八日目の蝉』

第95回　川上未映子『乳と卵』

第96回　高村薫『土の記』

第97回　堀江敏幸『いつか王子駅で』

第98回　山田詠美『学問』

第99回　桐野夏生『バラカ』

第100回　伊藤たかみ『あなたの空洞』

「連載100回を迎えて」上下

第101回　篠田節子『夏の災厄』

第102回　恩田陸『ドミノ』

第103回　村上春樹『羊をめぐる冒険』

第104回　井上荒野『切羽へ』

第105回　井上荒野『結婚』

第106回　三崎亜記『となり町戦争』

第107回　三崎亜記『失われた町』

第108回　江國香織『きらきらひかる』

第109回　西村賢太『けがれなき酒のへど』

第110回　西村賢太『苦役列車』

第111回　川上弘美『センセイの鞄』

第112回　矢作俊彦『神様のピンチヒッター』

第113回　西加奈子『漁港の肉子ちゃん』

第114回　西加奈子『通天閣』

第115回　三浦しをん『まほろ駅前番外地』

第116回　田中慎弥『神様のいない日本シリーズ』

第117回　堀江敏幸『雪沼とその周辺』

第118回　絲山秋子『離陸』

第119回　前田司郎『愛でもない青春でもない旅立たない』

第120回　馳星周『不夜城』

第121回　馳星周『少年と犬』

第122回　辻村深月『ツナグ』

第123回　遠野遥『破局』

第124回　高山羽根子『首里の馬』

第125回　島田雅彦『カタストロフ・マニア』

第126回　上田岳弘『塔と重力』

第127回　上田岳弘『ニムロッド』

第128回　有栖川有栖『幻坂』
https://makotsky.blogspot.com/2020/10/128.html

第129回　有栖川有栖『双頭の悪魔』
https://makotsky.blogspot.com/2020/10/129.html

第130回　東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

第131回　朝井リョウ『何者』

第132回　朝井リョウ『武道館』

第133回　今村夏子『星の子』

第134回　古川日出男『ベルカ、吠えないのか？』

第135回　姫野カオルコ『昭和の犬』

第136回　柳美里『JR上野駅公園口』

第137回　藤沢周『ブエノスアイレス午前零時』

第138回　宮下奈都『羊と鋼の森』

第139回　柴崎友香『春の庭』

第140回　三浦しをん『風が強く吹いている』

第141回　荻原浩『海の見える理髪店』

第142回　吉田修一『ウォーターゲーム』

第143回　坂上泉『インビジブル』

第144回　宇佐見りん『かか』

第145回　伊与原新『八月の銀の雪』

第146回　森絵都『風に舞いあがるビニールシート』

第147回　中村文則『逃亡者』

第148回　高橋源一郎『恋する原発』

第149回　沼田真佑『影裏』

第150回　森絵都『漁師の愛人』

第151回　内田春菊『ファザーファッカー』

第152回　高橋源一郎『ジョン・レノン対火星人』

第153回　芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』
第154回　町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』

第155回　川上未映子『ヘヴン』

第156回　岡田利規『わたしたちに許された特別な時間の終わり』

第157回　中村文則『去年の冬、きみと別れ』

第158回　ねじめ正一『高円寺純情商店街』

第159回　町田康『湖畔の愛』

第160回　松尾スズキ『老人賭博』

第161回　林真理子『葡萄が目にしみる』

第162回　島田荘司『異邦の騎士　改定完全版』

第163回　綾辻行人『十角館の殺人　新装改訂版』

第164回　新庄耕『狭小邸宅』

第165回　金原ひとみ『fishy』

第166回　筒井康隆『文学部唯野教授』

第167回　佐藤究『テスカトリポカ』

第168回　乗代雄介『旅する練習』

第169回　奥田英朗『オリンピックの身代金』

第170回　中上健次『枯木灘』

第171回　宮本輝『螢川・泥の河』

第172回　赤川次郎『セーラー服と機関銃』

第173回　吉田修一『続　横道世之介』

第174回　桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』

第175回　有栖川有栖『孤島パズル』

第176回　豊島ミホ『日傘のお兄さん』

第177回　桜木紫乃『それを愛とは呼ばず』

第178回　池井戸潤『下町ロケット』

第179回　池井戸潤『オレたちバブル入行組』

第180回　池井戸潤『ルーズヴェルト・ゲーム』

第181回　綿矢りさ『生のみ生のままで』

第182回　さだまさし『眉山』

第183回　中村航『トリガール！』

第184回　有川浩『県庁おもてなし課』

第185回　原田マハ『でーれーガールズ』

第186回　一穂ミチ『スモールワールズ』

第187回　佐藤究『Ank: a mirroring ape』

第188回　熊谷達也『邂逅の森』

第189回　吉田修一『犯罪小説集』

第190回　森博嗣『工学部・水柿助教授の日常』

第191回　高樹のぶ子『マイマイ新子』

第192回　米澤穂信『満願』

第193回　米澤穂信『氷菓』

第194回　さだまさし『カスティラ』

第195回　西村賢太『どうで死ぬ身の一踊り』

第196回　田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』

第197回　大江健三郎『河馬に噛まれる』

第198回　桐野夏生『夜の谷を行く』

第199回　長嶋有『佐渡の三人』

第200回　金城一紀『GO』

第201回　金城一紀『フライ、ダティ、フライ』

第202回　村上春樹『女のいない男たち』

第203回　田辺聖子『姥ざかり』

第204回　綿矢りさ『勝手にふるえてろ』

第205回　砂川文次『ブラックボックス』

最終回　吉田修一『ミス・サンシャイン』
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